近年増加している「国際ロマンス詐欺」
いま、SNSやマッチングアプリを通じて恋愛関係を築いた相手から、「投資」を持ちかけられる詐欺が急増しています。
それが、いわゆる 「国際ロマンス詐欺」 です。
これまで1000件を超える被害相談が寄せられており、その中には「数千万円の送金」「全財産を失った」など深刻なケースも少なくありません。
本記事では、実際の被害データをもとに2025年時点の最新傾向を解説します。
国際ロマンス詐欺とは?
国際ロマンス詐欺とは、インターネットを通じて知り合った人物が恋愛関係を装い、
最終的に金銭をだまし取る詐欺の一種です。
詐欺師はまず、SNSやマッチングアプリを通じてターゲットに近づき、長期間にわたって信頼関係を築こうとします。言葉巧みに「あなたのことを本気で愛している」「一緒に未来を築きたい」などと語りかけ、相手の警戒心を解きながら、最終的には投資や送金を提案してきます。
複雑化する手口
かつての手口は、以下のようなものが主流でした。
- 海外の恋人が結婚資金として現金や高価な贈り物を小包で送ったが、途中の税関で差し止められたため、関税や解除金を立て替えてほしいと頼まれる
- 新しいビジネスのために海外で機械を購入したが、クレジットカードが使えなかったため、代金を一時的に肩代わりしてほしいと頼まれる
- 自分の家族が難病に苦しんでおり、治療費を支援してほしいと頼まれる
- 空港で現地警察に拘束され、保釈金を払って欲しいと頼まれる
上記のように銀行振込などの直接的な送金を求める比較的わかりやすい手口でした。
しかし近年では仮想通貨の普及に伴い、手口もより巧妙かつ匿名性の高い方法へと進化しています。
被害者に架空の仮想通貨取引所の開設をさせて入金をさせることで、資金を奪い取るのが特徴です。
「投資型」国際ロマンス詐欺
もちろん仮想通貨を直接送金させる手口も存在しますが、
それ以上に目立つのが、被害者に仮想通貨取引所の口座を開設させて、投資を行わせるというパターンです。
なぜこのような手口が広がっているのでしょうか?
一因として、日本国内でも「副業」や「投資」への関心が高まり、仮想通貨や暗号資産に対する心理的なハードルが下がってきたことが挙げられます。ポジティブな報道が増えたことも影響し、「怪しいけど、もしかして本当に稼げるかも」と考えてしまう人が増えています。
その結果、海外の詐欺グループはこれまでのように単純な金銭要求をせず、
「一緒に資産を増やそう」「高利回りの投資で将来を共にしよう」
といった誘い文句で、多額の資金を巧みに引き出しています。
つまり、感情面だけでなく経済的欲求にもつけ込むのが「投資型」国際ロマンス詐欺の特徴なのです。
注意喚起が多数出ています
警察庁や国民生活センターなどの公的機関も、SNS型や投資型ロマンス詐欺に対して継続的に注意喚起を行っています。



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1000件以上の相談から見えてきた、投資型国際ロマンス詐欺の特徴
1.出会いはマッチングアプリ、SNSのDM(ダイレクトメッセージ)が多数

インスタで、趣味で同じだから仲良くなりたいといきなりDMが届きました。
実際の被害相談で非常に多かった出会いの手段は、マッチングアプリやinstagramなどのSNSです。
SNSのDMでは、「趣味が同じ」「日本に興味がある」「日本語を勉強している」などと、被害者の投稿に合わせてメッセージを送ってくるケースが多くみられました。
そのほか、facebookやYoutubeの広告や、tiktokを通じて接点を持ったケースもあり、SNS全般が詐欺の入口となっている実態が明らかです。
2. 国際ロマンス詐欺における詐欺師とは?
前提として、近年の国際ロマンス詐欺における詐欺師の多くは、日本人ではなく、海外に拠点を置く外国人詐欺グループです。
SNSやマッチングアプリで知り合う相手は、「日本人」「台湾人」「ハーフ」と名乗っていたとしても、実際には詐欺グループが仕組んだ「架空の人物設定」にすぎません。
そのため、私たちがやり取りしているのは、本人ではなく“詐欺のために作られたキャラクター”であることを理解することが重要です。
3.詐欺師の人物像・・・圧倒的多数は「帰国子女」




統計で見る人物設定の傾向
実際の被害相談データから、詐欺師が名乗る人物設定で最も多かったのは「日本人(帰国子女)」で、全体の32.05%を占めています。
次いで「台湾人」「韓国人」「シンガポール人」など、アジア系の人物像が上位を占めており、文化や言語の共通性を活用して信頼を得ようとしている傾向が見て取れます。
なぜ「帰国子女」なのか?
「帰国子女」という設定は、詐欺師にとって「とても都合がよい」のです。
詐欺師のほとんどは海外に拠点を持つ外国人詐欺グループであり日本語を話せないことが多いため、
日常的に翻訳ツールを使用して日本語のやり取りを行なっています。
しかし、その日本語はどうしても不自然になりがちです。
そこで使われるのが、
「日本で生まれたがすぐに海外に移住した。最近になって日本に帰ってきた」
という帰国子女の設定です。
このキャラクターであれば、日本語が苦手な日本人という人物像が自然に成立し、不自然な日本語を正当化することができます。
「今は日本語を勉強中で、翻訳ツールを使いながら会話している」という説明も、違和感なく受け入れられてしまうのです。
4. 勧誘のパターン:「二人の未来」のために資金を増やそう
詐欺師は、ある程度恋愛関係が築かれたタイミングを見計らい、
ごく自然な流れで投資の話を切り出してきます。
「将来のために、二人で資金を準備しておこう」
「一緒に暮らすために、お金を貯めておきたい」
「結婚を見据えて、安定した収入源を持っておきたい」
「二人で豊かな生活を送るために投資をしよう」
こうしたもっともらしい言葉を並べて、恋人としての信頼感や将来への期待感を巧みに利用し、
相手の心に入り込んできます。
そして次の段階では、
被害者に対して取引所(※実際は詐欺サイト)の開設をうながし、
日本国内の正規取引所での仮想通貨購入・送金方法などを手取り足取り教えてきます。
5. 騙される「投資」は、ほぼ100%が架空の詐欺サイト
詐欺師たちは、被害者に実在する仮想通貨取引所ではなく、彼らが用意した架空の取引所(偽アプリ・偽サイト)で投資をさせます。
被害者が取引所に資金を送ったと思っていても、実際にはその時点で詐欺グループの懐に入っています。
取引や利益はすべて画面上で演出された虚偽のもの。
なかには一度だけ小額の出金が成功し、「これは本物かも」と思わせるケースもあります。
1000件以上の被害データのほとんどで、こうした詐欺サイトの存在が確認されており、
いまや「偽の投資サイト」は投資型国際ロマンス詐欺の定番ツールといっても過言ではありません。
さらに、その信頼性を高めるために“第三者”が登場します。たとえば、「叔父が投資アナリストをしている」「知人が仮想通貨のプロで絶対に勝てるアルゴリズムを持っている」など、詐欺師本人以外の“専門家”を登場させることで、より信ぴょう性を感じさせる構成になっているのです。
このように、単に「儲かるから」とは言わず、「信頼できる人がいて、あなたにも教えてくれる」という流れにすることで、被害者の警戒心を巧みに和らげていきます。
6. 信頼を高める「親戚」の登場
1000件以上の被害データによると、
多くの詐欺師が勧誘のタイミングで、親戚(特に叔父・叔母)の存在を持ち出してきます。
「叔父が投資アナリストで、勝てるタイミングを教えてくれる」
「親戚が投資アルゴリズムを開発したから、絶対に負けることはない」
「叔父がヘッジファンドの役員をやっていて、投資を教えてくれる」
「叔母が投資のプロだから叔母の指示通りやれば絶対勝てる」
こうした信頼できる第三者を登場させる手口は非常に多く、
被害者に安心感と信頼感を与えることで、投資の話にリアリティと説得力を持たせてきます。
7. 出金拒否から始まる地獄
最初はうまくいっていると見せかける
偽の投資サイトで実際に取引を始めると、
相手が言うとおり、本当に利益が出ます。
なお、最初の一回の少額だけ出金ができることも多く、実際に国内取引所に入金が確認できた方もおられます。



言う通りやったら本当に利益が出て、出金もできた!
そうして信頼してしまった被害者は、
「さらに資金を増やせば、もっと儲かる」などと煽られ、追加で仮想通貨を購入・送金してしまいます。
そして、十分な金額を投資した段階で「出金したい」と被害者が申し出ると、
今度はまったく別の展開が待っています。
出金拒否が始まる
出金を断られる理由は、主に以下のようなものです
税金
「利益の30%にあたる税金を事前に納めていただく必要があります」
実際にあった被害例
マネーロンダリングの疑い
「資金にマネーロンダリングの疑いがあるため、調査費として残高の40%をお支払いください」
実際にあった被害例
いずれも「前払い」が必要だと告げられます。
しかも、口座残高から差し引くという申し出には一切応じてくれません。
詐欺師はというと、
「それは取引所のルールで、私にもどうにもできない」と第三者的な立場を徹底してきますが、
中には、被害者の味方を装って説得し続ける者もいます。
8. 「半分出すよ」と言われて… 追い打ちと「無限ループ」
出金手数料が高額で支払えないと言うと、詐欺師は次のように提案してきます。



「紹介した私にも責任があるから、手数料を半額払うよ。
この言葉に、被害者は「自分のためにここまでしてくれるなんて・・・」と信じ込んでしまい、
残りの金額をなんとか用意してしまうのです。
そしてさらに、次の請求がやってきます。
「不正な第三者からの資金流入の疑いがあるため口座を凍結した。解除には手続費用が必要」
「犯罪収益の疑いがあるため、確認作業が必要」
こうして、出金のための請求が何度も何度も繰り返され、
被害額は加速度的に膨れ上がってしまいます。
まとめ:誰にでも起こり得る、「恋愛と投資」の罠
近年の投資型の国際ロマンス詐欺は、出会いから送金までの流れが、驚くほど似通っています。
詐欺師の人物設定・偽サイト・心理操作まで、すべてが「お金を引き出すため」に緻密に仕組まれたもの。
これはもはや、感情を悪用した個人の詐欺ではなく、組織的に展開される犯罪ビジネスです。
次は、こうした手口に巻き込まれないための見抜き方について解説していきます。


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被害を防ぐために、私たちができること
詐欺師の共通パターンを知ることが第一歩
国際ロマンス詐欺の被害に巻き込まれないためには、まず詐欺師たちが使う共通の手口を知っておくことが非常に重要です。
これまでの傾向から、SNSやマッチングアプリに潜む詐欺師の多くは、海外の詐欺グループです。
彼らは翻訳ツールを使って日本語でやり取りするため、言葉づかいが不自然だったり、カタコトになることがほとんどです。
特に「海外で暮らしていたため日本語が不自由」と言う理由には注意が必要です。
やり取りを始めてすぐのタイミングで、「結婚しよう」「好きだ」と、出会ったこともないのに急に言い出してくる相手には要注意です。
知り合ったばかりで深い関係を求めてくる場合、詐欺の布石である可能性が高いと考え、一度冷静になることが大事です。
「二人の将来のために投資をしよう」など、唐突な投資話は特に注意してください。
「ビジネスで失敗したが、叔父の投資アドバイスで再起できた」
「知り合いが絶対に勝てるアルゴリズムを持っている」
など、信頼できそうな第三者を登場させて、もっともらしいストーリーを作り上げてくるのが定番の手口です。
投資サイトを紹介された時にできる簡単なチェック方法
1.詐欺バスターズ(当サイト)の記事を検索
2.WHOIS検索で、サイトが作られた日をチェック
WHOISとは、簡単に言えば「サイトやドメインの登録者名」「取得日」「使用しているサーバー情報」などを確認できるツールですが、以下のような WHOIS検索サイトを利用するのが便利です。







2025年5月25日(50日前)に作られたサイトってことだね!
このように、サイトがいつ作られたのか(ドメインの取得日)は、誰でも簡単に確認できます。
実際、詐欺サイトの多くはドメイン取得から日が浅く、開設から間もないケースがほとんどです。
これは、口コミや悪評が広まる前にサイトを閉鎖し、次々と新しいサイトを立ち上げているためです。
つまり、最近作られたばかりの取引サイト=詐欺の可能性が高いという重要な判断材料になります。
もちろん最近作られたばかりのサイト全てが詐欺サイトではありません。
ですが、ドメイン取得日を確認するだけでも、落ち着いて見極めるきっかけになるはずです。
3.関東財務局(財務省)の警告の有無を確認
仮想通貨や投資サービスを提供する事業者の中には、金融庁または関東財務局から警告を受けているケースがあります。
この警告リストに掲載されている業者は、「無登録で金融商品取引業等を行っている」と判断されたものであり、法的に問題がある可能性が非常に高いとされています。
少しでも怪しいと感じたら…
相手とのやり取りの中で「お金」の話が出た時点で、一度冷静になってください。
その段階で恋愛感情があっても、「本当に信頼できる相手なのか」を疑う勇気が必要です。
そして、自分ひとりで判断せずに、当サイトのような詐欺被害を扱う専門メディアや調査会社の無料相談で、相談することを強くおすすめします。
詐欺被害にあってしまったら
万が一、詐欺被害の可能性があると感じた場合は、以下の行動を速やかに取ってください。
・絶対に追加で資金を送らないでください
「出金のために税金が必要」、「本人確認の保証金を払えば出金できる」などと請求される場合でも、絶対に支払わないでください。これまでの事例からも、一度も出金できたケースは確認されていません。
・詐欺師との連絡を断ちましょう
電話やLINE、メールなどで連絡が来ても、
すべて無視してください。
催促や脅しのような内容で不安を煽ってくる場合もありますが、返信せず関わらないことが重要です。
・証拠は絶対に削除しないでください
LINEのやり取りや送金履歴、相手の連絡先、SNSプロフィールなどは重要な証拠になります。
スクリーンショットを撮って保管し、データは削除しないようにしましょう。
・無料相談窓口を活用しましょう
自分だけで抱え込まず、
詐欺被害に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
調査会社「Block Trace Japan株式会社」では、専門スタッフが明確な根拠を元にお金が取り戻せる可能性があるかを丁寧に確認してくれます。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
※Block Trace Japan公式へ移動します。
まとめ:まずは「疑うこと」から、すべてが始まります
国際ロマンス詐欺は、もはや一部の人だけが引っかかる特殊な詐欺ではありません。
SNSやマッチングアプリを使って、誰でも被害に遭う可能性があります。
今回紹介したような特徴やチェック方法を知っているだけでも、「もしかして?」と立ち止まる判断材料になります。
そして、その小さな違和感に気づけるかどうかが、被害を防ぐ大きな分かれ道になります。
もしあなたや、あなたの大切な人が、同じような話を持ちかけられているなら――
まずは疑ってみてください。感情よりも、事実を優先してください。
そして、困ったときはひとりで抱え込まずに、必ず第三者に相談してください。
詐欺バスターズでは、こうした詐欺の実態を共有し、被害を防ぐための情報提供を行っています。
「ちょっと怪しいかも」と思ったら、お気軽にご相談ください。